ロードバイクのヘルメットを買う
ロードバイクのヘルメットが、欲しいよ―(マヂカルラブリー風に)
ヘルメットの買い替え
ヘルメット製造元の会社では、推奨性能が維持される期間という観点から、おおむね3年で買い換えるべきという説明をしています。海外サイトでも「5年で買い替えを推奨」とかなってる所が多いようです。
翻って我が家にあるヘルメットを見てみる
2003年にSpecialized Allez A1 Sportと同時に買ったGIRO Transitくん(300グラム)。きみ、もう18年も経ってるのか。もうインナーパッドがボロボロになってどっかいっちゃいました。捨てます。捨てます。
わたくし全てを忘却しておりますが、日記によるとこの時買ったロードバイクのコンポは105で、上野ハクセンの通販で買ったらしい(119,200円)。ペダルは今はなきSPD-Rだったそうな。ほんとに1mmも記憶ないな。でも佐川が指定日に届けてくれなかったから営業所に電話して文句言ったら深夜1:30に届いたのだけは覚えている。
あと夜中にディズニーランドの外周道路走ってたらカーボンシートポストが折れて交差点内で落車して、帰宅中であろう大勢のキャストさん達からすっごい見られて恥ずかしかったのも覚えてます。サドルなしで舞浜から三田までどうやって帰ったのかは覚えてませんが立ち漕ぎしたんでしょう。まじかよ。
Canyon Ultimate CFと同時に買ったSpecialized S-Works Prevailくん Omega Pharma Lottoカラー(198グラム)。フェルマルクのチームジャージと共に買いました。サラリーマン時代は羽振りが良かったのう。
ちなみに君は2011年3月生まれだそうですね。もうすぐ満10歳。これもいけません。すぐにでも買い換えないと。
MIPS, SPIN, WaveCel
最近のヘルメットのトレンドとして、多方向からの衝撃を緩和させる構造の採用が挙げられます。斜めからの衝撃を受けた際、従来のヘルメットでは脳しんとうを起こす可能性が高く、その結果重篤な怪我を負ってしまうことにつながっていたのだそうです。
MIPSと呼ばれるテクノロジーでは、ヘルメット外殻とインナーライナーの間に低摩擦の層が加えられ、衝撃を受けた時にこの中間層がスリップするそうです。それにより衝撃分散度が高まり、受けた衝撃が効果的に軽減されるとのことです。
現在MIPS搭載ヘルメットは多数のメーカーより販売されています。Specializedのヘルメットは、新モデル全てでMIPSを採用しています。
ヘルメットメーカーPOCは、MIPSに似たSPINという技術を開発しました。POCのヘルメットでSPINが採用されているものは、概ねMIPSと似た構造で衝撃を分散させているといえます。なおMIPS社はPOC社を特許侵害として訴えまして、現在POC社はSPINを取りやめてMIPS技術を搭載する方向にあるそうです。近い将来POCからもMIPSヘルメットが登場するでしょう。
WaveCelは、自転車メーカーTREKのパーツ部門であるBontragerブランドのヘルメットに搭載されている技術です。衝撃を吸収する樹脂により、MIPSに勝る衝撃低減効果を生み出しているとのことです。
MIPS社はWaveCelの技術についても「主張されているほどの効果が確認できない」という声明を出していたりします。じゃあMIPSとWaveCelと、どちらを選べばいいのでしょうね?
Virginia Tech Helmet Ratings
バージニア工科大学では、各種スポーツヘルメットの安全性試験を行って、結果を公表しています。試験スコア、およびお勧め度の星(5点満点)で安全性が表示されています。
これを見ますと「軽量化されたヘルメットは高価だが、高価だから堅牢性が高いとはいえない」というように、価格と衝撃吸収性能は必ずしも一致しないことがわかります。
せっかくヘルメットを買うんですから、費用対効果の優れたものを購入したいわけですよね。
アジアンフィットとユーロフィット
ロードバイクの盛んなヨーロッパ人とアジア人とでは、頭部形状が異なるという問題があります。
- ヨーロッパ人の頭は前後に張り出していて横幅は狭い
- アジア人の頭は横幅が広い
欧米のヘルメットメーカーは通常ヨーロッパ人向けの形状で横幅の狭い「ユーロフィット」でヘルメットを設計していますので、アジア人であれば、アジア人用に設計されたアジアンフィット(AF)ヘルメットのほうが、こめかみ周辺の圧迫などを受けずに快適に被れることが多いとされています。
私の購入条件
最終的に、下記の条件に当てはまるヘルメットを探したいと思います。私はロードバイク・クロスバイク・小径車乗りで、レース・エンデューロ・ヒルクライムはやりません。ブルベもキャノンボールもやりません。佐渡も王滝も予定にはなく、日帰りの河川敷遠乗りがメインです。そのうちビワイチ、いつの日か東京~直江津のCtoC(東京湾の水を汲んで日本海に流す)をやりたいと思っている程度の者です。
5つ星ヘルメット11選
ではいよいよ、日本で入手性の良い5つ星ヘルメットをピックアップします。
なお、ヘルメットを買う際にWiggleやChain Reaction Cyclesなどの海外通販を利用することはおすすめしません。日本のロードレースに出場するためのJCFシールが添付されていなかったり、保証が効かなかったりするからです。
同様にAmazonでの購入もおすすめできないと考えます。定価以上の価格で販売していたり、長期在庫品だったりする場合があるようです(Amazon.co.jpで、普通に6年前くらいの在庫品が並んでいるのを目にしました)。
それで、メーカー直販サイトや国内代理店サイトで通信販売できるものなら、ある程度信頼できるものと言えるでしょう。
なお、Helmet Ratingsのスコアは、数値が低いほど高評価です。
1. SCOTT Centric Plus (MIPS)
スキー用品などで著名なSCOTTの中堅モデルCentric Plusはスコア10.2で、入手性の高いヘルメットの中では一番の安全性を示したといえます。色もSupersonic Editionという紫ベースのきれいなものです。26,400円(税込)
2. POC Octal X SPIN
スウェーデンのお洒落ヘルメットブランドPOCの最新のヘルメットです。
スコア10.6です。敬遠されがちなキノコ頭形状がむしろかっこいい的ムーブメントの発祥なのではないでしょうか(わかりません)。一番ほしいですけど価格41,800円(税込)おお高い… 無理…
3. SCOTT ARX PLUS
SCOTTのMTB向け入門ヘルメットはスコア10.7です。13,200円(税込)と、ぐっとお値打ち。4色展開です。おなじHELMET ARX というものでも、ロード用はスコア14を超えますので混同しないようにしましょう。
4. Bontrager Specter WaveCel
WaveCelのモデルがランクインです。WaveCelにはギーガー的構造の魅力がありますね。見た目は自己満足の世界ですけど。安全性もかなり高いことが証明されました。スコア10.8で、価格は19,500円(税抜)です。ただし、WaveCelはMIPSと比べると素材の重量の点で不利であり、相対的に重くなってしまうようです。
5. POC Tectal Race SPIN
POCのMTB向けヘルメットはスコア11.7です。価格33,000円(税込)。バイザーとればロードでもいけますかね。
なおPOCは最近限定されたモデルでAF(アジアンフィット)を展開していますが、ユーロフィットモデルはかなり幅が狭いと聞きます。横幅にあわせてサイズを上げると、重量も増してしまいますので悩ましいですね。
6. Bontrager XXX WaveCel
遭難信号でしょうか、なんと呼べば良いのかわからないヘルメットですが、AF(アジアンフィット)モデルのあるヘルメットが初ランクインですね。スコア11.8のWaveCelヘルメットです。31,500円(税抜)。
※バージニア工科大学の試験では、あくまでもオリジナルのユーロフィットモデルについて試験していると思われますのでご注意ください。
7. Bontrager Rally WaveCel Mountain Bike Helmet
Bontrager Rally WaveCel Mountain Bike Helmet
WaveCelモデルはおしなべて高評価ですね。スコア12.1のMTBモデルです。19,500円(税込)。
8. Specialized Echelon II MIPS
Specializedのロード用エントリーグレードのモデルがランクイン。Specializedの直販サイトで扱われているヘルメットはみなアジアンフィットモデルのようです。アジア人数千人のデータ蓄積による形状最適化がなされているそうです。
価格も12,100円(税込)で、スコアは12.2です。ロード向け&アジアンフィット&安価ということで、大本命と言えましょう。
9. Bontrager Velocis MIPS Asia Fit Road Helmet
Bontrager Velocis MIPS Asia Fit Road Helmet
Bontragerのロード向けヘルメットです。AF(アジアンフィット)ですね。価格は23,200円(税抜)ということで、もうちょい安ければなー。どうせボントレガー買うんだったらMIPSではなくWaveCelにしてみたい気もします。
10. Specialized S-Works Prevail II (MIPS)
Specializedの最高峰で30,800円(税込)ですが、スコアはEchelon IIに劣る12.7です。高価だから安全というわけではないのですね。軽量化はすごいと思いますが。
ちなみにこのヘルメットには、SpecializedのユニークなデバイスであるANGiが搭載されています。ANGiとは、スマホと通信をするBluetoothビーコンデバイスです。事故などの強いショックが加わった時に一定時間復帰操作をしないでいると、予め設定したメールアドレスに、GPS座標などを送信するそうです。単独行での事故発生時に救急通報される確率が高まります。
これ欲しいなー。予算オーバーですが。
11. Specialized Chamonix MIPS
Specializedのエントリーモデルです。上記のリンクはChamonix 2という後継モデルですが、性能は踏襲しているのではないでしょうか。
米国ではおよそ75ドル、日本でもたったの8,250円(税込)で販売されていますが、まごうことなき5つ星、スコア13.1です。これこそ最高コスパモデルといえましょう。普通の人に取って、チャリのヘルメットで8千円って十分に高級品ですよね!!
で、結局なにを買うのか
お金がたくさんあれば(笑)迷わずPOC Octal X SPINを買いたいと思います。ラファのEFエデュケーション・NIPPOのウェアと合わせて。そしたらCannondaleのロードバイクも買わないとね。
でも結局、私はコレを買うことにしました。
「リストにないやつかよ!!!」とツッコまれてしまいますね。はいすみません。
でも、このPropero IIIはS-Works Prevail IIの廉価版と位置づけられる製品なので、Prevail IIの持つ安全性に比肩すると勝手に思っております。
そして、Prevail IIの半額なのにもかかわらずこれにはMIPSとANGiがしっかり搭載されています。MIPS社とSpecialized社は密接な技術協力を行い、MIPS-SLというテクノロジーの独占展開を行っているほどなので、Specializedの製品なら間違いないんじゃないかという考えです。
それに、IT技術者の端くれとしては、ANGiも使ってみたいじゃないですか。ANGiのGPSデータをサイコン代わりにStravaに上げたりもできるそうです。
色について
白や黒を選びがちですが、まず黒は除外します。なぜなら「夏は死ぬほど暑いから」。合理的ですね。
そして、色選びをしている時にTrekの「認知されるためのABC」なるキャンペーンを知りました。最近のお洒落自転車ウェアの落ち着いたトーンも魅力的ではありますが、自分たちの存在を目立たせることは乗り手側の努力すべき目標であると思いまして、今回は蛍光グリーンを選択することにします。
www.specialized-onlinestore.jp
この色で路上をサバイブしていく!!
ちなみに家族向けにこちらも買いました。ちゃんと出かける時はヘルメット被ってね。
www.specialized-onlinestore.jp
最後に言いたいこと
Helmet Ratingsベスト10のうち、LazerのMIPS搭載ヘルメットが4つランクインしているんです。でも、Lazerってベルギーとみせかけて今やシマノグループなんですよね。シマノのデジタルカタログによると、国内向け製品はみなアジアンフィットみたいなんですけど、MIPS搭載とは書かれていないんですよね。ひょっとしてアジアンフィット製品にはMIPS載せてないのだろうか、と勘ぐってしまいます。
アジアンフィットモデルの販売数はユーロフィットモデルよりも全然少ないのかもしれませんが、たとえそうだとしても、シマノには日本の自転車業界を牽引する企業として、国内に展開するヘルメットのMIPS化、および啓蒙活動を頑張っていただきたいなーと思っているものであります。